相続して空き家になった実家を活用する方法と落とし穴|不動産売却コラム| | 横浜市の不動産売却、査定・買取なら(株)あおぞら不動産
相続して空き家になった実家を活用する方法と落とし穴
目次
先日実家を相続したけど、既に結婚してて生活の基盤が遠方に出来ているのでそこに引っ越すのが困難な場合、
・空き家活用を検討する
・売却する
という選択肢が出てきますが、この空き家活用には多数メリットがある反面、デメリットも数多く潜んでいます。
多くのメディアやネット記事等ではメリットのみが大きく強調されていますが、いち個人の財政面で今後大きな影響を及ぼしかねない「空き家活用」のメリットとデメリットを天秤にかけしっかりと検討しなければいけない事だと思います。
この記事では、そんな空き家活用にはどんな手段やメリットがあるのか?また空き家活用に潜む落とし穴について解説します。
まず最初の空き家活用の代表的な活用方法として、空き家を賃貸に出すというものがあります。
地域や物件の状況にもよりますが、
・単身者向けの賃貸
・家族向けの賃貸
・学生向けシェアハウス
等が挙げられます。
賃貸に出すメリットとして最大のものは、毎月家賃収入が得られるという点です。
立地条件や間取りや広さ等により変動がありますが、うまく住む人が見つかれば毎月10万円前後(年間120万円前後)の家賃収入が期待出来ます。
何もしなければ固定資産税等で支出させられるのみとなってしまう空き家となった実家が資産として生まれ変わるわけですので、経済的メリットは相当なものになるでしょう。
また、賃貸として空き家を活用しつつも不動産を所有し続けられることは、将来値上がる可能性を考慮に入れると資産形成という意味でもメリットが生まれる可能性があります。
賃貸に出すことのデメリットとしてまず挙げられるのが空室リスクがあることです。
入居者がいると毎月家賃収入が得られるのですが、誰も入居していなければ当然家賃収入はゼロとなってしまう上、管理費用や入居者募集の広告費等の支出により収支がマイナスにもなり得ます。
こういった収入がゼロ(またはマイナス)か100か、極端な差が生まれてしまうのが賃貸に出すことの注意点だと言えるでしょう。
また、賃貸経営を始める前にも大規模なリフォームもしくはリノベーションが必要な場合が多く、初期費用として数百万円はかかってしまう、なんてこともあります。
さらに入居者が近隣住人とトラブルを起こしたり、家賃の支払いを拒否したりすることも起こり得ます。
そういった場合にトラブル解決のために手間をかけなくてはいけなくなる可能性がある、というのも賃貸に出すことのデメリットだと言えるでしょう。
昨今のコロナの流行によりテレワーク文化がかなり普及しましたが、その背景を追い風にしようと空き家を新たなテレワーク拠点やレンタルスペースとしてリノベーションし活用する動きが出てきています。
また、もし実家が比較的観光地が多いエリアや海沿い等といったエリアの場合、休暇と仕事を兼ねた「ワーケーション」施設として活用する手もあります。
このワーケーション施設もテレビの報道や雑誌で特集が組まれ、世間的な認知も進んでいるので『都会の喧騒から離れて自然豊かな場所で休暇を兼ねたワーケーションがしたい』という層の人々に刺さる形でうまくPR出来れば、人気施設として収益が得られる可能性があります。
また、自治体側も人口減少や衰退化への解決策としてそういったテレワークやワーケーション施設に向けたリノベーションに対して補助金を出す動きがありますので、あなたの実家が建つエリアの自治体にそのような補助金制度があるのか確認してみるのも良いでしょう。
これは上記の賃貸に出すことでも得られるメリットでありますが、テレワークやワーケーション施設として活用する方法のメリットは経済的メリットが得られる点に加え、建物の設備管理の手間を減らせるというメリットもあります。
空き家を何も活用せず放置する場合、通電確認や通水確認、清掃など、所有者が行わなくてはいけない作業負担が出てきてしまいます。
ですが、テレワークやワーケーション施設といった定期的に利用者が空き家を使用するケースでは、設備の破損やトラブルが起きた際に素早く把握することが出来ます。
こういった設備管理という面でも、メリットがあると言えそうです。
この方法のデメリットは、「立地次第では収益化が難しい」が挙げられます。
人口の少ない田舎やアクセスしづらい立地の場合、収益化させるのに十分な利用者が望めないのが現状です。
また、高速インターネット環境の完備やプリンター、シュレッダー、ドリンクサーバー等の事務用品の設置が必要です。
場合によってはフルリノベーションが必要になる場合、相当額の初期費用を覚悟しないといけないでしょう。
黒字化できるのかどうか、しっかりと検討した上で始めるのが良いでしょう。
誰も住まなくなった空き家を民泊施設として活用するという方法も人気です。
元々は年々増え続ける外国人観光客向けの宿泊設備としてブームに拍車をかけていたのすが、2020年からの新型コロナウイルスの流行により一旦厳しい状況を迎えていました。
それが2023年から予定されているコロナ規制解除に伴い、再び需要増が見込める成長市場してまた注目されることが見込まれます。
また、国土交通省は2023年度より民泊運営事業に参入する際の条件が緩和される予定となっており、2018年に施行された民泊新法に続き、より民泊事業に参入する機運が高まりつつあり、まさに追い風が吹いていると言える状況でしょう。
現在、民泊事業に認められる営業日数は年間180日(泊)が上限となっていますが、特区民泊エリアでは上限は無く365日営業が可能です。
(現在「東京都大田区」、「大阪府」、「大阪市」、「福岡県北九州市」、「新潟県新潟市」、「千葉県千葉市」が特区民泊エリアとして指定されています。)
厚生労働省の全国民泊調査によると、1泊あたりの平均宿泊料が全国で7,659円となっているので、営業努力により上限180日の8割にあたる144日稼働したとしたら、年間1,102,896円の売上が期待できます。
上記の試算結果を多いと取るか少ないと取るかは人の財政状況によりますが、少なくとも空き家となった実家を放置したままにするよりも大きな経済的メリットを生んでくれるのは間違いないでしょう。
また、先述した通り、コロナ規制緩和が進む日本において、国内からの旅行者や外国人観光客からも民泊施設への需要増が見込めるという追い風が吹いている状況も、より有利な状況で空き家活用を始めるという意味でメリットだと言えるでしょう。
それに民泊経営を通し、地域活性化が望めることも地域社会全体として大きなメリットだと言えます。
この方法のデメリットとしては、管理コストの大きさが挙げられます。
宿泊客が利用した後は清掃しなければなりませんが、地理的な理由でご自身では難しい場合、費用を支払って外部委託するコストが発生してしまいます。
また、宿泊客の使用によって生じる家具や備品が損傷した場合にも、都度修繕コストが発生します。
そういったコストが発生する上、安定した収入が得られるとは限らない点もリスクとして捉えるべきでしょう。
立地にもよりますが、観光地や国際線が離着陸する飛行場、もしくは主要ターミナル駅の近隣エリアの場合は利用者が期待できますが、そうでない場合は対策を考えなくてはいけません。
例えばかなりの田舎の場合、「日本文化が満喫できる」と外国人観光客向けにアピールする必要がある上、文化や言葉の違いによるトラブル発生に注意しなればなりません。
ただ、チャンスと捉えることができるので、この辺りは一概にデメリットだと言い切れない部分もありますが、人によってはデメリットだと言えるかと思います。
他にも空き家活用として人気が高いのが「古民家カフェ」です。
この古民家カフェがなぜ人気なのかというと、その参入障壁の低さが理由として挙げらています。
開業時に必要な許可関連のハードルが低く、また費用面という意味でも比較的手軽に始められるのが人気の理由です。
この古民家カフェを開業するにあたって、必要となる許可や届け出は以下の通りです。
・(必須)飲食店営業許可
・防火対象物使用開始届
・防火管理者選任届(収容人数が30人を超える場合)
・酒類提供飲食店営業開始届出書(深夜12時以降にアルコール類を提供する場合)
空き家を古民家カフェとして活用するメリットとしては、先述した参入障壁の低さが挙げられます。
さきほど民泊施設として空き家活用を取り上げましたが、この民泊施設を開業するにあたって、旅館業法の許可が必要な上、消防法に基づく消防設備の設置基準が厳しいため、開業に向けた予算もかなり大きくなってしまいます。
その反面、古民家カフェの場合、開業にあたって必須となる条件が「飲食店営業許可」のみとなっており、また消防設備の設置基準も民泊より緩いため、その分初期費用も低く抑えられます。
また、「古民家」というコンセプトなので、開業前のリノベーションも完全に見た目を変化させるようなフルのものではなく、古民家の雰囲気を残すイメージでOKですので、その分リノベーション費用も抑えられるでしょう。
とてもメリットが感じられる古民家カフェとして活用する方法ですが、もちろんデメリットもあります。
代表的な例として、カフェとして経営することは即ち「競争も激しい」ということを意味します。
ライバルとなり得るのは他のカフェ等店舗だけではありません。
イートインスペースがあるコンビニや、スーパーといった気軽にコーヒーやスイーツが手に入る場所もライバルになり得ます。
そんなライバルが多い環境で欠かせないのが地域住民のニーズを汲んだコンセプト作りです。
また、古民家カフェは完全フルリノベーションする必要がないと先述しましたが、カフェとして経営する上で最低限必要な給水管や排水管等の不具合が無いための確認や修繕等は必要です。
赤字を生み出さない古民家カフェを経営するためには相当な努力が必要となりますので、総合的に「コストがかかる」方法だと見ておいた方が良いでしょう。
空き家活用法、5つ目が「借地として土地を貸す」というものです。
これは、所有している土地を事業者や法人、個人に貸し出すことにより定期的に収入を得るというもので、以下の2種類があります。
・借主が望む限り契約期間を更新することができる普通借地権契約
・一定期間が経過したら契約更新をすることなく土地が返還される定期借地権契約
空き家活用としてこの方法をとる場合で最終的に土地を手放すことは考えていないという方は、定期借地権契約を選択すると良いでしょう。
長く安定した収入が得たいという場合は、普通借地権契約がオススメです。
この方法のメリットはもちろん経済的なメリットが享受できるというものですが、特筆すべきなのがその安定性です。
例えば普通借地権契約の場合、20年〜50年は安定して家賃収入が得ることができます。
また、土地を貸すだけですので、建物を建てる為の費用や維持管理費用は借主負担となるため、初期費用の負担が無いという点もこの方法のメリットだと言えるでしょう。
そして節税効果が期待できることもこの方法のメリットです。
相続税が計算される仕組みは、その土地の評価額によって変動するものですが、貸している土地の場合は借主の権利の分だけ評価額が下がる仕組みとなっており、その分節税効果が期待できます。
この方法も多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。
例えば、これは見方によってはメリットだと捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、長期契約となった場合、その土地のその他の活用は難しくなり、また売却しにくくなるというデメリットが挙げられます。
また、建物を取り壊さず賃貸に出すより収益性が低くなってしまう可能性もあります。
通常、借地料は他の土地活用と比べて低いのが一般的であるからです。
また、建物が建っていない状態ですと固定資産税が最大6分の1になる住宅用地の特例の適用が受けられないというのも、この方法のデメリットだと言えるでしょう。
これまで様々な空き家活用の方法について紹介してきましたが、そのどれもが上手く活用することでかなりのメリットが得られる反面、実は「空き家活用」自体に無視できない落とし穴がこれまで紹介したデメリットの他に存在します。
それが、空き家となった実家を売却した時の譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる『相続空き家3,000万円特別控除』が利用できなくなってしまう、というものです。
※ 相続空き家3,000万円特別控除については「住まなくなった実家を節税しながら売却する方法」で詳しく解説しています。
どういう事かというと、相続空き家3,000万円特別控除を利用するための要件の一つに、『相続してから売却するまでに事業・貸付・居住の用に供されていないこと』とあり、これまで紹介してきた空き家活用を行うことで売却した際の特別控除が受けられなくなってしまう、というものです。
この3,000万円というのはとても大きく、実家を売却した際の譲渡所得が3,000万円以上になりそうだと分かったら、空き家活用ではなく売却してしまった方が経営や管理等にかかる作業コストや金銭的なコストが掛からず、総合的により良いメリットが得られる可能性が高いです。
もちろん、空き家活用が成功しより大きな経済的メリットが得られる場合もありますが、思った以上に大変で「こんなハズでは…」という声もたまに耳にします。
ですので、空き家活用すべきか、売却すべきかはあなたが何に価値を見出すかにもよりますので、先述した「落とし穴」を考慮に入れて判断してみるのがオススメです。
いかがでしたでしょうか。
実家を相続すると、「早く活用しないと損」だと焦りがちですが、この段階で
・活用するのが良いのか
・売却した方が良いのか
この記事で紹介したあらゆる活用方法とメリット、デメリット、そして相続空き家3,000万円特別控除が利用できなくなるという落とし穴を踏まえじっくり判断するのが賢明でしょう。
この記事が少しでもあなたのお役に立てたのでしたら幸いです。
空き家を貸し出すためには、いくつかの手続きが必要です。まず最初に、地方自治体の条例や規則を確認しましょう。
一部の地域では、空き家を貸すために特別な登録や許可が必要な場合があります。次に、賃貸契約書を作成しましょう。
契約書には賃料や期間、入居者の権利や義務などを明記します。
また、入居者の選定には入居審査を行うこともあります。さらに、所有する空き家には必要な修繕や改装があるかもしれません。
安全性や快適性を確保するため、必要な修繕を行いましょう。
また、火災保険や責任保険の加入も忘れずに行いましょう。最後に、税金に関する手続きも忘れずに行いましょう。
地方自治体の空き家対策によっては、空き家を貸すことで特別な税制優遇を受けられる場合もあります。
これらの手続きを適切に行うことで、空き家を安心して貸し出すことができます。
ただし、地域によって異なるルールがあるため、確認を怠らないようにしましょう。
空き家を民泊として活用する際には、以下の注意点に留意する必要があります。
まず、地方自治体の条例や規制を確認しましょう。地域によっては民泊の営業許可や登録が必要な場合があります。
また、近隣住民とのトラブルを避けるためにも、近隣への配慮が重要です。
騒音や駐車場の利用など、周囲への影響を最小限に抑えるよう心掛けましょう。
安全対策も重要です。適切な火災保険の加入や、施錠や防犯対策の強化など、安全性を確保しましょう。
清潔さと快適性も大切です。掃除やリネンの交換、アメニティの提供など、滞在者が快適に過ごせる環境を整えましょう。
さらに、法令遵守も重要です。税金や消防法、個人情報保護法など、関連する法令を遵守しましょう。
最後に、民泊の運営には時間や労力がかかることを覚えておきましょう。
適切な運営計画を立て、管理や予約管理にも十分な時間を割くようにする必要があります。
これらの注意点を踏まえながら、空き家を民泊として活用することで、効果的な収益を得ることができます。
空き家を貸す場合の家賃相場を決めるには、以下の要素を考慮することが重要です。
まず、同じ地域や近隣の物件の家賃相場を調査しましょう。
類似の広さや間取り、設備などを持つ物件の賃料を参考にすると良いでしょう。
また、物件の状態や設備の充実度も考慮し、新築やリノベーション済みの場合は他の物件より高めの家賃を設定することもできます。
さらに、立地条件も重要な要素です。交通の便や周辺の施設、環境などが家賃に影響を与えるからです。
需要の高い地域や人気のエリアでは家賃を高めに設定することができるかもしれません。
また、需要と供給のバランスも考慮しましょう。
需要が高く供給が少ない場合は家賃を上げる余地がありますが、逆に需要が低く供給が過剰な場合は競争力のある家賃設定が必要です。
最終的には入居者の付加価値や物件の魅力も考慮し、競争力のある価格を設定しましょう。
地域の不動産業者や専門家のアドバイスも活用すると良いです。
横浜市での相続不動産売却はあおぞら不動産にお任せください!活用以外にも売却という方法もあります!
・空き家活用を検討する
・売却する
という選択肢が出てきますが、この空き家活用には多数メリットがある反面、デメリットも数多く潜んでいます。
多くのメディアやネット記事等ではメリットのみが大きく強調されていますが、いち個人の財政面で今後大きな影響を及ぼしかねない「空き家活用」のメリットとデメリットを天秤にかけしっかりと検討しなければいけない事だと思います。
この記事では、そんな空き家活用にはどんな手段やメリットがあるのか?また空き家活用に潜む落とし穴について解説します。
活用法①賃貸に出す
まず最初の空き家活用の代表的な活用方法として、空き家を賃貸に出すというものがあります。
地域や物件の状況にもよりますが、
・単身者向けの賃貸
・家族向けの賃貸
・学生向けシェアハウス
等が挙げられます。
賃貸に出すことのメリット
賃貸に出すメリットとして最大のものは、毎月家賃収入が得られるという点です。
立地条件や間取りや広さ等により変動がありますが、うまく住む人が見つかれば毎月10万円前後(年間120万円前後)の家賃収入が期待出来ます。
何もしなければ固定資産税等で支出させられるのみとなってしまう空き家となった実家が資産として生まれ変わるわけですので、経済的メリットは相当なものになるでしょう。
また、賃貸として空き家を活用しつつも不動産を所有し続けられることは、将来値上がる可能性を考慮に入れると資産形成という意味でもメリットが生まれる可能性があります。
賃貸に出すことのデメリット
賃貸に出すことのデメリットとしてまず挙げられるのが空室リスクがあることです。
入居者がいると毎月家賃収入が得られるのですが、誰も入居していなければ当然家賃収入はゼロとなってしまう上、管理費用や入居者募集の広告費等の支出により収支がマイナスにもなり得ます。
こういった収入がゼロ(またはマイナス)か100か、極端な差が生まれてしまうのが賃貸に出すことの注意点だと言えるでしょう。
また、賃貸経営を始める前にも大規模なリフォームもしくはリノベーションが必要な場合が多く、初期費用として数百万円はかかってしまう、なんてこともあります。
さらに入居者が近隣住人とトラブルを起こしたり、家賃の支払いを拒否したりすることも起こり得ます。
そういった場合にトラブル解決のために手間をかけなくてはいけなくなる可能性がある、というのも賃貸に出すことのデメリットだと言えるでしょう。
活用法②テレワーク・ワーケーション施設として活用する
昨今のコロナの流行によりテレワーク文化がかなり普及しましたが、その背景を追い風にしようと空き家を新たなテレワーク拠点やレンタルスペースとしてリノベーションし活用する動きが出てきています。
また、もし実家が比較的観光地が多いエリアや海沿い等といったエリアの場合、休暇と仕事を兼ねた「ワーケーション」施設として活用する手もあります。
このワーケーション施設もテレビの報道や雑誌で特集が組まれ、世間的な認知も進んでいるので『都会の喧騒から離れて自然豊かな場所で休暇を兼ねたワーケーションがしたい』という層の人々に刺さる形でうまくPR出来れば、人気施設として収益が得られる可能性があります。
また、自治体側も人口減少や衰退化への解決策としてそういったテレワークやワーケーション施設に向けたリノベーションに対して補助金を出す動きがありますので、あなたの実家が建つエリアの自治体にそのような補助金制度があるのか確認してみるのも良いでしょう。
テレワーク・ワーケーション施設として活用するメリット
これは上記の賃貸に出すことでも得られるメリットでありますが、テレワークやワーケーション施設として活用する方法のメリットは経済的メリットが得られる点に加え、建物の設備管理の手間を減らせるというメリットもあります。
空き家を何も活用せず放置する場合、通電確認や通水確認、清掃など、所有者が行わなくてはいけない作業負担が出てきてしまいます。
ですが、テレワークやワーケーション施設といった定期的に利用者が空き家を使用するケースでは、設備の破損やトラブルが起きた際に素早く把握することが出来ます。
こういった設備管理という面でも、メリットがあると言えそうです。
テレワーク・ワーケーション施設として活用するデメリット
この方法のデメリットは、「立地次第では収益化が難しい」が挙げられます。
人口の少ない田舎やアクセスしづらい立地の場合、収益化させるのに十分な利用者が望めないのが現状です。
また、高速インターネット環境の完備やプリンター、シュレッダー、ドリンクサーバー等の事務用品の設置が必要です。
場合によってはフルリノベーションが必要になる場合、相当額の初期費用を覚悟しないといけないでしょう。
黒字化できるのかどうか、しっかりと検討した上で始めるのが良いでしょう。
活用法③民泊施設として活用する
誰も住まなくなった空き家を民泊施設として活用するという方法も人気です。
元々は年々増え続ける外国人観光客向けの宿泊設備としてブームに拍車をかけていたのすが、2020年からの新型コロナウイルスの流行により一旦厳しい状況を迎えていました。
それが2023年から予定されているコロナ規制解除に伴い、再び需要増が見込める成長市場してまた注目されることが見込まれます。
また、国土交通省は2023年度より民泊運営事業に参入する際の条件が緩和される予定となっており、2018年に施行された民泊新法に続き、より民泊事業に参入する機運が高まりつつあり、まさに追い風が吹いていると言える状況でしょう。
現在、民泊事業に認められる営業日数は年間180日(泊)が上限となっていますが、特区民泊エリアでは上限は無く365日営業が可能です。
(現在「東京都大田区」、「大阪府」、「大阪市」、「福岡県北九州市」、「新潟県新潟市」、「千葉県千葉市」が特区民泊エリアとして指定されています。)
厚生労働省の全国民泊調査によると、1泊あたりの平均宿泊料が全国で7,659円となっているので、営業努力により上限180日の8割にあたる144日稼働したとしたら、年間1,102,896円の売上が期待できます。
民泊施設として活用するメリット
上記の試算結果を多いと取るか少ないと取るかは人の財政状況によりますが、少なくとも空き家となった実家を放置したままにするよりも大きな経済的メリットを生んでくれるのは間違いないでしょう。
また、先述した通り、コロナ規制緩和が進む日本において、国内からの旅行者や外国人観光客からも民泊施設への需要増が見込めるという追い風が吹いている状況も、より有利な状況で空き家活用を始めるという意味でメリットだと言えるでしょう。
それに民泊経営を通し、地域活性化が望めることも地域社会全体として大きなメリットだと言えます。
民泊施設として活用するデメリット
この方法のデメリットとしては、管理コストの大きさが挙げられます。
宿泊客が利用した後は清掃しなければなりませんが、地理的な理由でご自身では難しい場合、費用を支払って外部委託するコストが発生してしまいます。
また、宿泊客の使用によって生じる家具や備品が損傷した場合にも、都度修繕コストが発生します。
そういったコストが発生する上、安定した収入が得られるとは限らない点もリスクとして捉えるべきでしょう。
立地にもよりますが、観光地や国際線が離着陸する飛行場、もしくは主要ターミナル駅の近隣エリアの場合は利用者が期待できますが、そうでない場合は対策を考えなくてはいけません。
例えばかなりの田舎の場合、「日本文化が満喫できる」と外国人観光客向けにアピールする必要がある上、文化や言葉の違いによるトラブル発生に注意しなればなりません。
ただ、チャンスと捉えることができるので、この辺りは一概にデメリットだと言い切れない部分もありますが、人によってはデメリットだと言えるかと思います。
横浜市での相続不動産売却はあおぞら不動産にお任せください!活用以外にも売却という方法もあります!
活用法④古民家カフェとして活用する
他にも空き家活用として人気が高いのが「古民家カフェ」です。
この古民家カフェがなぜ人気なのかというと、その参入障壁の低さが理由として挙げらています。
開業時に必要な許可関連のハードルが低く、また費用面という意味でも比較的手軽に始められるのが人気の理由です。
この古民家カフェを開業するにあたって、必要となる許可や届け出は以下の通りです。
・(必須)飲食店営業許可
・防火対象物使用開始届
・防火管理者選任届(収容人数が30人を超える場合)
・酒類提供飲食店営業開始届出書(深夜12時以降にアルコール類を提供する場合)
古民家カフェとして活用するメリット
空き家を古民家カフェとして活用するメリットとしては、先述した参入障壁の低さが挙げられます。
さきほど民泊施設として空き家活用を取り上げましたが、この民泊施設を開業するにあたって、旅館業法の許可が必要な上、消防法に基づく消防設備の設置基準が厳しいため、開業に向けた予算もかなり大きくなってしまいます。
その反面、古民家カフェの場合、開業にあたって必須となる条件が「飲食店営業許可」のみとなっており、また消防設備の設置基準も民泊より緩いため、その分初期費用も低く抑えられます。
また、「古民家」というコンセプトなので、開業前のリノベーションも完全に見た目を変化させるようなフルのものではなく、古民家の雰囲気を残すイメージでOKですので、その分リノベーション費用も抑えられるでしょう。
古民家カフェとして活用するデメリット
とてもメリットが感じられる古民家カフェとして活用する方法ですが、もちろんデメリットもあります。
代表的な例として、カフェとして経営することは即ち「競争も激しい」ということを意味します。
ライバルとなり得るのは他のカフェ等店舗だけではありません。
イートインスペースがあるコンビニや、スーパーといった気軽にコーヒーやスイーツが手に入る場所もライバルになり得ます。
そんなライバルが多い環境で欠かせないのが地域住民のニーズを汲んだコンセプト作りです。
また、古民家カフェは完全フルリノベーションする必要がないと先述しましたが、カフェとして経営する上で最低限必要な給水管や排水管等の不具合が無いための確認や修繕等は必要です。
赤字を生み出さない古民家カフェを経営するためには相当な努力が必要となりますので、総合的に「コストがかかる」方法だと見ておいた方が良いでしょう。
活用法⑤借地として土地を貸す
空き家活用法、5つ目が「借地として土地を貸す」というものです。
これは、所有している土地を事業者や法人、個人に貸し出すことにより定期的に収入を得るというもので、以下の2種類があります。
・借主が望む限り契約期間を更新することができる普通借地権契約
・一定期間が経過したら契約更新をすることなく土地が返還される定期借地権契約
空き家活用としてこの方法をとる場合で最終的に土地を手放すことは考えていないという方は、定期借地権契約を選択すると良いでしょう。
長く安定した収入が得たいという場合は、普通借地権契約がオススメです。
借地として土地を貸すメリット
この方法のメリットはもちろん経済的なメリットが享受できるというものですが、特筆すべきなのがその安定性です。
例えば普通借地権契約の場合、20年〜50年は安定して家賃収入が得ることができます。
また、土地を貸すだけですので、建物を建てる為の費用や維持管理費用は借主負担となるため、初期費用の負担が無いという点もこの方法のメリットだと言えるでしょう。
そして節税効果が期待できることもこの方法のメリットです。
相続税が計算される仕組みは、その土地の評価額によって変動するものですが、貸している土地の場合は借主の権利の分だけ評価額が下がる仕組みとなっており、その分節税効果が期待できます。
借地として土地を貸すデメリット
この方法も多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。
例えば、これは見方によってはメリットだと捉える方もいらっしゃるかもしれませんが、長期契約となった場合、その土地のその他の活用は難しくなり、また売却しにくくなるというデメリットが挙げられます。
また、建物を取り壊さず賃貸に出すより収益性が低くなってしまう可能性もあります。
通常、借地料は他の土地活用と比べて低いのが一般的であるからです。
また、建物が建っていない状態ですと固定資産税が最大6分の1になる住宅用地の特例の適用が受けられないというのも、この方法のデメリットだと言えるでしょう。
他にも潜む「空き家活用の落とし穴」とは?
これまで様々な空き家活用の方法について紹介してきましたが、そのどれもが上手く活用することでかなりのメリットが得られる反面、実は「空き家活用」自体に無視できない落とし穴がこれまで紹介したデメリットの他に存在します。
それが、空き家となった実家を売却した時の譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる『相続空き家3,000万円特別控除』が利用できなくなってしまう、というものです。
※ 相続空き家3,000万円特別控除については「住まなくなった実家を節税しながら売却する方法」で詳しく解説しています。
どういう事かというと、相続空き家3,000万円特別控除を利用するための要件の一つに、『相続してから売却するまでに事業・貸付・居住の用に供されていないこと』とあり、これまで紹介してきた空き家活用を行うことで売却した際の特別控除が受けられなくなってしまう、というものです。
この3,000万円というのはとても大きく、実家を売却した際の譲渡所得が3,000万円以上になりそうだと分かったら、空き家活用ではなく売却してしまった方が経営や管理等にかかる作業コストや金銭的なコストが掛からず、総合的により良いメリットが得られる可能性が高いです。
もちろん、空き家活用が成功しより大きな経済的メリットが得られる場合もありますが、思った以上に大変で「こんなハズでは…」という声もたまに耳にします。
ですので、空き家活用すべきか、売却すべきかはあなたが何に価値を見出すかにもよりますので、先述した「落とし穴」を考慮に入れて判断してみるのがオススメです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
実家を相続すると、「早く活用しないと損」だと焦りがちですが、この段階で
・活用するのが良いのか
・売却した方が良いのか
この記事で紹介したあらゆる活用方法とメリット、デメリット、そして相続空き家3,000万円特別控除が利用できなくなるという落とし穴を踏まえじっくり判断するのが賢明でしょう。
この記事が少しでもあなたのお役に立てたのでしたら幸いです。
良くある質問
質問①実空き家を貸し出すために必要な手続きはありますか?
空き家を貸し出すためには、いくつかの手続きが必要です。まず最初に、地方自治体の条例や規則を確認しましょう。
一部の地域では、空き家を貸すために特別な登録や許可が必要な場合があります。次に、賃貸契約書を作成しましょう。
契約書には賃料や期間、入居者の権利や義務などを明記します。
また、入居者の選定には入居審査を行うこともあります。さらに、所有する空き家には必要な修繕や改装があるかもしれません。
安全性や快適性を確保するため、必要な修繕を行いましょう。
また、火災保険や責任保険の加入も忘れずに行いましょう。最後に、税金に関する手続きも忘れずに行いましょう。
地方自治体の空き家対策によっては、空き家を貸すことで特別な税制優遇を受けられる場合もあります。
これらの手続きを適切に行うことで、空き家を安心して貸し出すことができます。
ただし、地域によって異なるルールがあるため、確認を怠らないようにしましょう。
質問②空き家を民泊として活用する際の注意点は何ですか?
空き家を民泊として活用する際には、以下の注意点に留意する必要があります。
まず、地方自治体の条例や規制を確認しましょう。地域によっては民泊の営業許可や登録が必要な場合があります。
また、近隣住民とのトラブルを避けるためにも、近隣への配慮が重要です。
騒音や駐車場の利用など、周囲への影響を最小限に抑えるよう心掛けましょう。
安全対策も重要です。適切な火災保険の加入や、施錠や防犯対策の強化など、安全性を確保しましょう。
清潔さと快適性も大切です。掃除やリネンの交換、アメニティの提供など、滞在者が快適に過ごせる環境を整えましょう。
さらに、法令遵守も重要です。税金や消防法、個人情報保護法など、関連する法令を遵守しましょう。
最後に、民泊の運営には時間や労力がかかることを覚えておきましょう。
適切な運営計画を立て、管理や予約管理にも十分な時間を割くようにする必要があります。
これらの注意点を踏まえながら、空き家を民泊として活用することで、効果的な収益を得ることができます。
質問③空き家を貸す場合の家賃相場はどのくらいですか?
空き家を貸す場合の家賃相場を決めるには、以下の要素を考慮することが重要です。
まず、同じ地域や近隣の物件の家賃相場を調査しましょう。
類似の広さや間取り、設備などを持つ物件の賃料を参考にすると良いでしょう。
また、物件の状態や設備の充実度も考慮し、新築やリノベーション済みの場合は他の物件より高めの家賃を設定することもできます。
さらに、立地条件も重要な要素です。交通の便や周辺の施設、環境などが家賃に影響を与えるからです。
需要の高い地域や人気のエリアでは家賃を高めに設定することができるかもしれません。
また、需要と供給のバランスも考慮しましょう。
需要が高く供給が少ない場合は家賃を上げる余地がありますが、逆に需要が低く供給が過剰な場合は競争力のある家賃設定が必要です。
最終的には入居者の付加価値や物件の魅力も考慮し、競争力のある価格を設定しましょう。
地域の不動産業者や専門家のアドバイスも活用すると良いです。
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